良性発作性頭位めまい症
良性発作性頭位めまい症は三半規管内に入り込んだ耳石と呼ばれる浮遊物によって生じる疾患です。
本来、耳石は耳の奥、前庭と呼ばれる三半規管に連続した袋状の器官に存在する極めて小さな塊です。この耳石が、前庭の壁の一部から剥がれて三半規管内に浮遊し、いくつかの耳石が集まり、起き上がった時に三半規管内を動く、あるいは感覚細胞に付着してめまいを引き起こすとされています。
施設によってその頻度は異なりますが、めまいをきたす疾患として最も多い疾患であることは間違いありません。
起き上がろうとすると激しくグルグル回る
典型的な症状は、朝あるいは深夜に床から起き上がろうとして激しくグルグル回った、というものです。聞こえの低下や耳鳴り、手足のしびれなどが無いことも重要です。
症状は数十秒からせいぜい数分で一旦軽減しますが、再度横になると、また寝返りをするとめまいを繰り返します。
高齢者では、その後にふらつき感を自覚する場合もあります。
多くの場合2週間以内に軽減します
疾患自体の経過は良好で、多くの場合2週間以内に軽減します。耳石を溶かす薬はありませんが、薬を使わなくても耳石を元の場所に戻すことは可能です。
また、耳石自体はいずれ溶けてなくなってしまうと考えられており、心配はありません。
同様の症状が見られる疾患も
メニエール病や突発性難聴の経過中にも同様の症状が見られる場合があります。この場合は耳石以外に脱落した細胞の塊などが原因と考えられています。
近年この病気は一般の方にも知られるようになったため、他の疾患を安易に良性発作性頭位めまい症と診断されている場合もあります。脳梗塞、脳腫瘍でも、一見良性発作性頭位めまい症と同様の症状や所見が見られる場合もあります。
安易に判断することなく、必ず耳鼻咽喉科専門医あるいはめまい相談医のいる医院を受診してください。