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扁桃炎

のどの奥には、扁桃と呼ばれる免疫(細菌やウイルスから体を守る仕組み)にかかわる重要な組織が多数存在しています。一般に扁桃腺と呼ばれていますが、扁桃自体は唾液腺のように何かを分泌する組織(腺)ではないため扁桃が正しい呼び名になります。

扁桃にはのどの奥の両側に見える口蓋扁桃、鼻の奥で口の中からは見えない咽頭扁桃(アデノイド)、舌の付け根にある舌扁桃など多数あります。
これらの扁桃は、鼻や口から侵入した細菌やウイルスから体を守る働きをしています。しかし、細菌やウイルスなどの外敵がある一定の状態を超えてしまった時には、扁桃自体が赤く腫れて発熱を引き起こします。この状態が(急性)扁桃炎です。

扁桃炎に解熱剤を使用して大丈夫?

ひとの体は体温が上がることによって細菌やウイルスの増殖を抑えようとします。このため扁桃炎で慌てて解熱剤を使用することは、体の防衛反応を抑えてしまうことになります。

ただし、発熱が長時間続くと脱水なども引き起こされるため、状態を見て使用していくことも必要です。

扁桃炎の治療

扁桃炎に対する治療として抗菌剤が使用されます。軽症であれば内服の抗菌剤でも十分ですが、重症例では抗菌剤の点滴が必要になります。
ただし、ウイルス性の扁桃炎、特にEBウイルスによる扁桃炎(伝染性単核症)では抗菌剤や解熱剤に対しての過敏性が高まり、全身に発疹を生じる可能性があります。さらに、肝臓の機能低下や脾臓の腫れなどを引き起こすため、十分な体の安静と脱水に対する補液が第一となります。
特に10歳代後半から20歳代での扁桃炎では注意が必要です。

扁桃炎を反復する状態を習慣性扁桃炎と呼びます。
年間数回に亘って扁桃炎を繰り返す場合には、手術によって口蓋扁桃を摘出することもあります。現在はほとんど全身麻酔下に行われます。両側の口蓋扁桃を摘出しても、周囲にはリンパ組織が多数存在しているため、直ちに免疫力が低下することはありません。

また、扁桃炎が重症化すると扁桃周囲膿瘍と言って、扁桃周囲に膿が貯まった状態になります。
この場合には、扁桃周囲を一部切開し膿を直ちに出す必要があります。重篤化すると深頸部膿瘍と言ってのどの奥から気管の周囲にまで炎症が及び、非常に危険な状態になります。

扁桃炎を繰り返されている方、発熱を伴うのどの痛みのある方は、我慢せずに耳鼻咽喉科専門医のいる医院を受診してください。