メニエール病

メニエール病はめまいをきたす代表的な病気として、比較的以前から名前は知られていた疾患です。めまい、難聴、耳鳴りを繰り返すことが特徴で、現在もたくさんの患者さんがいます。

しかし、以前いわれていたほど多い疾患ではなく、めまいの専門医療機関を除いてはそれほど多い疾患ではありません。以前から耳鳴り、難聴を患っていた方がめまい発作を一度生じただけではメニエール病とはいえません。
メニエール病の耳鳴りは、老人性難聴でみられるキーンといった音よりも、耳の詰まった感覚、耳の閉塞感の方が典型的です。これは、メニエール病でみられる難聴が低音障害といって低い周波数の難聴を特徴としているためです。

近年、めまい発作のみを繰り返す方、低音域の難聴のみを繰り返す方も広い意味でのメニエール病に加えるという考えもあります。
ただし、以前からの典型的なメニエール病では難聴の進行や、両側型への移行など重症化の問題がある一方で、非典型例ではめまい発作の訴えが自覚症状のみに依存したり、心因性の難聴などが含まれたりと様々な疾患を含む可能性が高く、現時点では典型例のみをメニエール病とすべきであると考えます。

メニエール病の原因と治療

メニエール病の原因は、内耳を満たす2種類の液体のうち、内リンパと呼ばれる液体の産生過剰、通過障害、排出障害などが原因と考えられています。このため、内リンパ液の排出を促す内服薬が使用されています。

症例によっては外科的な排出術（内リンパ嚢開放術）が実施される方もいますが、再発例もあり、必ずしも根治的とは言えません。有酸素運動を提唱する考えや、良性発作性頭位めまい症と同様にめまい体操を指導する医療機関もあり、医療者間で大きく意見が異なっているのが実情です。

インターネット等で検索し、一部の患者様の評価のみを頼りに遠方の医療機関をわざわざ受診される方もいますが、全くお勧めできません。
むしろ、メニエール病については最も身近にある耳鼻咽喉科専門医のいる医療機関を受診し、相談いただくことが重要です。